診療講師 福本 航
広島大学病院 放射線診断科
2009年卒
日本医学放射線学会放射線診断専門医
日本IVR学会専門医
海外の文化や医療に触れることで自分の見聞を広めたかった。また、何か自分が成長できることに挑戦してみたかったからです。
妻と子ども(4歳、3歳)と留学しましたが、良かったことばかりでした。
まず、どこに行っても小さい子どもを連れているとみんな親切にしてくれます。オランダ以外にも、ヨーロッパ各国へ行きましたが、全体的に子どもに親切な方が多かったです。また、家族と過ごす時間を日本より作ることができたことも一緒に留学して良かったことのひとつです。近所の公園に行ったり、旅行に行ったりと、かけがえのない時間が過ごせました。
妻や子どもにとって未知の経験ばかりで、それぞれ楽しんでいたようです。もし留学する機会があれば、家族で行くことをお勧めします。
慣れない環境で、言葉の通じないところで生活するのは、刺激的で楽しいこともたくさんありましたが、大変なことも多くありました。 住民登録などの事務手続きや交通機関でのトラブルなど、分らないことばかりで常に緊張を強いられていました。幸いなことに周りの方が良い人ばかりで、色々助けて頂きましたが、自分自身にはかなりストレスがかかっていたようで、胃が痛くなることも多々ありました。これらも今となっては全てよい思い出です。
放射線医療のエキスパートのなか、
とても刺激を受けた留学体験。
日本人の勤勉さは武器になると実感しました。
診療講師 福本 航
全然乗り越えられませんでした。なので、とにかくスライドを使ったり、メールを駆使したりと伝えようと努力しました。一生懸命伝えようとすれば、なんとかなるようなならないような。。。留学をより充実させるためには、言語能力の向上が必須であると痛感しました。
留学は、日本では味わえないことばかりで、全てが新鮮でした。私の留学したRadboud University Medical Centerでは、Radiology部門だけで放射線科医40人以上、放射線技師70人以上、画質解析者や画像物理士、大学院生などを合わせると総勢数百人以上が在籍していました。
多くの人数がいることで、研究、臨床、教育の全てが分業化され、協力しながら質の高い医療が行われており、大変刺激を受けました。
また、分業化し、効率良く働いていることで時間に余裕が持て、晴れた日には日光浴をしたり、外でランチをしたりと、ゆとりのある生活をされているのが印象的でした。
朝8時15分~カンファ(前日の症例や夜間の症例をみんなでreview)
午前:研究打ち合わせや研究
昼食:各国から勉強に来ている大学院生とランチ
午後:臨床見学やカンファ、研究
17時にはほとんどの方が帰宅
仕事面では、死後CTを用いて超高精細CTの研究を行ったことです。死後CT撮影のため、放射線科医の先生や放射線技師に協力して頂いて時間調整したり、献体に超音波ガイド下でシースを挿入して、造影CTを撮影したりと自分なりに試行錯誤しながら研究を行いました。臨床前の早朝や休日に撮影するため、交通手段がなく、30分以上徒歩で病院まで行ったりと苦労も多かったので、思い出に残っています。
また、生活面での一番の思い出は家族全員で電車に閉じ込められたことです。休日に遠出した帰宅途中の電車で、いつの間にか最終終着駅が変更となっており、本来停まる駅の1つ前の駅で終着しました。それに気が付かず、いつの間にか電車の中に閉じ込められていました。慌てて車両をまわり、外にいた駅員さんに見つけてもらい、なんとか脱出できましたが、非常に焦ったので一番思い出に残っています。
子どもはまだ小さかったのでよくわかっていなかったかもしれませんが、かなり順応してくれていたと思います。公園では他の子どもと仲良くなり遊んでいました。
妻はかなりエンジョイしていたようです。留学最後頃は、子どもと妻だけで遠くの遊園地に出かけたり、町まで買い物に出かけたりして、頼もしい限りでした。今でもオランダに帰りたいと言っています。
自分の実力不足を痛感したことかと思います。臨床面においても研究面においても、エキスパートだらけで、まだまだ実力をつけないといけないと感じられたことが一番の収穫かもしれません。とても刺激になりました。
一方で、日本人の勤勉さは武器であると感じました。留学することで世界トップレベルの研究や臨床が体験できたので、それを目標にコツコツ勤勉にやることが大切だと感じました。
学生の時は留学なんて想像もしていませんでしたが、チャンスを頂き、留学することができました。留学は大変なこともありますが、チャレンジすると必ず自分にとって大きな収穫となります。そのチャンスに備え、日々の臨床や研究をコツコツ行っていくことが大切だと感じています。