インターベンショナルラジオロジー(IVR)とは、患者様にやさしい治療法として近年注目を集めている低侵襲治療のひとつです。
当科は、チーム医療の中で各診療科と連携して、先進的なIVR診療を数多く提供しております。実際の研修・手術風景と共に、IVRの特徴、魅力、考え方を担当医の声でご紹介します。
診療講師・医局長 帖佐啓吾
広島大学病院 放射線診断科
2003年卒
日本医学放射線学会放射線診断専門医
日本IVR学会専門医
助教 三谷英範
広島大学病院 放射線診断科
2010年卒
日本医学放射線学会放射線科専門医
レジデント医師 滝本龍
広島赤十字・原爆病院
2017年卒
帖佐:
IVRは患者さんにやさしい治療法のひとつで、低侵襲治療といわれるものです。小さな穴をあけてカテーテルとよばれる細い管を病変近くまで誘導し、抗がん剤などの薬剤の注入などを行い、治療や検査をします。局所麻酔で行われ、病変に対してピンポイントにアプローチできるので、低侵襲にもかかわらず大きな治療効果を上げることが期待できます。
最小限の傷で最大限の効果を出す、
身体に負担の少ない治療です。
診療講師・医局長 帖佐 啓吾
滝本:
研修医で回っていたころに、放射線診断科の先生に誘っていただいて、画像診断に興味をもちました。画像診断だけではなく、IVRという手技の両方ができるということで、この科を選びました。
帖佐:
学生時代は外科に進もうと考えていましたが、卒業の直前にIVRを知り、今後も伸びる分野であると思いこちらに進みました。
三谷:
もともとは救急医だったんです。救急医をしているときに、外傷患者さんをIVRしていただくことがあり、IVRの力を知ったのがきっかけです。医療という大きなくくりでは同じ現場にいますが、考え方の違いや時間の感覚の違いはあります。特に救急は生理学的な知識と瞬時のマネージメント能力が必要な科ですが、IVRは解剖学的な知識と技術が必要です。それらを組み合わせることで、元救急の立場からIVRに、またIVR側から救急にも貢献できるかなと思い選びました。
急変への対応から緩和期のケアまで。
救急医時代に、
IVRの重要性を実感しました。
助教 三谷 英範
三谷:
自分のしたいことをさせていただいて、満足しています。誰が来ても拒まず、という雰囲気は感じます。
滝本:
相談しやすく、働きやすい職場だと思います。自分がやりたいことを言えば、それに応えてくれる科です。
入局2年目で多くの手技を経験し、
やりがいを感じています。
レジデント医師 滝本 龍
帖佐:
基本的には画像診断とIVRの両方をやっています。私はIVRをメインにしていますが、画像診断をメインにやる先生もいます。ただ、若いうちは全般的にまんべんなく勉強していただきます。それから少しずつ自分で方向性を選んでいきます。
滝本:
最新のシミュレータを使って、手技を具体的に行っていきます。上の先生方に指導していただきながら、入局2年目ですが積極的に実践治療を行っています。
帖佐:
血管の形とか身体の情報に合わせてカテーテルを作ることもあります。
三谷:
やる気ですね。やりたいと思う気持ちが大事。
帖佐:
多少技術的なものも必要ですが、実践していくうちにうまくなっていきます。経験を積むことが大切。また、読影の経験が手技につながっているので、基本的に読影ができないと手技はできないと考えています。
三谷:
患者さんの負担になりにくいIVRはこれから重要視されてくると思います。また、頭や心臓、内臓など、多領域にわたって携わることができ、かつ急性期から緩和期まで治療を行える幅広い分野です。
帖佐:
まだ歴史が新しいので、これから進化していく分野です。新しい機械手技や治療もどんどん開発され、期待されています。
帖佐:
画像診断でも、AIが全てを担うことは無理だと思います。車の自動操縦と同じで、AIに頼れる部分は大きくなるかもしれませんが、大事な部分は人間の手でないとできないと思います。
三谷:
AIによって画像診断は正確性を増しスピードアップする可能性はあります。IVRでもいつか、カテーテルが全自動で挿入できるようになるかもしれない(笑)。いずれにしても、それだけ広がりがあり、夢のある分野です。